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幹部やマネージャーの「最初の3か月が勝負」への誤解を解く

みなさんこんにちは。@ryuzeeです。 2026年3月4日に新刊の訳書『Aligned ―プロダクト開発におけるステークホルダーとの関係性の築き方』がオライリー・ジャパンから発売になりましたのでよろしくお願いします。

本記事は、先日Xに書いた記事の転載です。


今月からマネージャーや幹部に昇進したり、新しい会社でそのポジションについた人も多いんでしょうね。先日のツイートで「いきなり変えるなよ」という話をしたんですが、もうちょっと深掘りしたいと思います(昨日電車に乗ってて暇だったのでiPhoneで書きましたw)。

幹部やマネージャーにとって「最初の3か月が勝負」っていうのはよく言われる言葉ですが、誤解しちゃうケースがとても多いです。最大の誤解は、「最初の3か月で成果を出さなければいけない」なんですが、これはやばい落とし穴です。

このように考えてしまうと、次のような行動につながります。

  • 前任者のやり方を否定する
  • 現状の問題点を指摘する
  • すぐに改善しようとする
  • 自分のやり方を持ち込む

どれも、貢献したい、価値を出したいという気持ちから来ているのはよくわかります。最初から悪意を持って組織に加わったりする人なんかいないですからね(ただし善意を持っていない可能性はあります。自分の出世や報酬だけが目的というのはない話ではないです)。

でも、上で挙げたようなやり方は、ほとんどの場合うまくいきません。 みんな幹部やマネージャーが変わるたびに繰り返されるよくわからない変更に飽き飽きしています

うまくいかない理由は単純で、信頼関係がないからです。 人間は「正しさ」だけでは動きません。「この人の言うことなら聞いてもいい」と思ったときに初めて動きます。なんだこいつ?と思うような人が言ったことなんて、話半分で聞いたり適当にスルーしたり、影で「全然分かってねーな」とみんなで愚痴って、やってるポーズだけしておしまいです。

どれだけ「正しい」ことを言っても、信頼がない状態では受け入れられないってことですな。

そしてもう1つ見落とされがちなことがあります。こっちのほうが大事かもしれない。それは「組織やチームが今の形ややり方になっているのには、必ず理由がある」ということです。つまり本人が「正しい」と思うことなんて、表層的で間違っている可能性があるってことです。

多くの場合、そこにいる人たちは何も考えていないわけではありません。

  • もっと良くしようと試行錯誤してきた
  • うまくいかなかった取り組みがある
  • 途中で壁にぶつかった経験がある
  • 組織としての制約や事情がある

そうした積み重ねの結果として、いまのやり方や構造があります。

これを無視して、「それはおかしい」「こうすべきだ」と外から持ち込んだやり方をそのまま当てはめても、過去に起きた失敗をもう一度繰り返すだけですこれがあるから新しい幹部やマネージャーを冷ややかな目で見るわけです。

では何をすればよいのかというと、至って単純で、まずは多くの人と話すことです。具体的には次のような点を理解します。

  • いま何に困っているのか
  • 何を大事にしているのか
  • なぜ今のやり方になっているのか
  • 過去にどんな試みがあったのか

ここで重要なのは、「評価するため」ではなく、理解するために話を聞くことです。理解しないままの変更の提案や命令なんてゴミです。捨てるのに手間がかかるゴミは厄介極まりないです。 そして、自分は敵ではないと認識してもらうこと。新しく来た幹部やマネージャーは、本人の意思に関わらず「何かを変えに来た人」「評価しに来た人」「上から指示を出す人」「落下傘」だとみなされます。

この状態のままでは、本音なんか出てくるはずがありません。なんせ本音を言ったら、そこを突かれたり、組織にバラされたり、評価下げられたり、叱責されたりするリスクがあるわけです。あえてそれを晒すインセンティブがありません。

まずは、「一緒にやる人」「味方」「安心して話せる相手」だと認識してもらう必要があります。当然、儀式的に1回だけ1on1をするくらいじゃまったく足りません

さて、このあたりのことができたら何かを変える実験をすればいいんですが、自分が命令する必要あるんだっけ?というのがこのタイミングのミソです。

話を聞いてコンテキストを理解し、信頼関係が出来ていくのであれば、もう組織やチームが変えたくても変えられなかったことを後押しすれば良くないですか?たとえば政治力を行使したりお金を持って来たりして、あとはチームにやってもらえばいい。

もしくは組織やチームが気づいていないことであれば、それを話したり提案したりすればいい。自分の権限を行使する必要もないでしょうね。

ということで頑張ってくださいー。

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